米国政府の主目的は住宅価格のPKOではなく、日本政府がやったように払い続けることができる。
銀行もGDPさえ維持されれば収益もそれなりに維持され、そこから自己資本の強化を進めることができる。
日本では6大都市の商業用不動産がピークから87%も下がり、住宅価格もピークから約半分になったが、財政出動で景気を支え続けた結果、過去15年間のGDPは名目も実質も、一回もバブルのピークを下回ったことはない。
それどころか、日本は株と土地のバブル崩壊でG率は5%台止まりで、GDPも上昇し続け、15年後の今、企業のバランスシートも銀行のバランスシートも大変きれいになった。
米国も日本と同様に、資産価格のPKOや個別行の存続にかかわる議論に振り回されるよりも、まず経済全体を救う銀行への資本投入や公共事業の拡大による景気対策に政府のエネルギーを集中させるべきなのである。
マクロをおろそかにしてミクロのPKOや個別行への対応に政府のエネルギーを投入することは、リスクが大きい割にはリターンが少ない。
PKOが成功する保証はないし、個別行救済の件はベアー・スターンズでも見たように政治的コストが大変高くつく。
CNBCが生放送していた米国上院でのベアー・スターンズ救済に関する公聴会を夜中に見ていたが、そこでは2時間以上にわたってバーナンキ議長、ガイトナー・ニユスティール財務副長官とコックスSEC委員長の4人が、上院議員からのーヨーク連銀総裁、攻勢でタジタジになっていた。
例えば、行政側の4人が今回は金融システム全体が崩壊しかねなかったので、超例外的に券会社が潰れることで、米国の金融システム全体が崩壊するという事態になるまであなた方は何を見ていたのだ、という批判が続出した。
この公聴会では、実際に米国経済を危機から救った4人が議員側からの反発に応えるという大変気の毒な設定になっていたが、これは、現状ではまだ貸し手救済が非常に困難なことの何よりの証しであろう。
このようなことばかりに政府のエネルギーを費やしていたのでは政府も米国経済も保たないだろう。
個別行の問題はそれなりに対応する必要はあるが、これだけシステミツクな維持に置くべきなのである。
今回のIMFのレポートで世界の金融機関は945O億ドルの損失をこうむるという試算が出されたが、日本の金融機関が過去15年間に処理した不良債権の総額は10O兆円、つまりほとんど今回の試算と同額であった。
それでも日本は、この間ずっとバブルのピークを越えるGDPを維持してきたのは、当初から政府が民間のバランスシート調整で発生するデフレギャップを財政出動で埋めてきたからである。
今回の米国も同様の政策を採るべきである。
このような財政政策を打つということは、元々ドル以外には効かない金融政策への依存度を下げることになり、このことはインフレが気になる米国にとっても、世界経済にとっても好ましいことである。
過去15年間の日本は、つい数年前まで世界最大の貿易黒字国だったことで、クルーグマン教授などが盛んに提言した円E政策を採れず、最終的にはすべて財政出動で対応した。
貿易黒字国がさらに自国通貨Eにして不況から脱却しようとすると、全世界から「失業を輸出している」と反発を受けるからである。
つまり、日本は自国の問題をすべて自国内で片付けたわけで、その分世界へは迷惑をかけずに済んだことになる。
今回の米国は世界最大の貿易赤字国なので、同国がドルにすることに誰も文句は圭一早えない。
その一方で、米国民はドルから来るインフレを極度に心配している。
しかもドルから来る輸出増だけで、いま米国内で発生している多くの景気悪化要因を相殺してGDPを維持するのは無理だろう。
そうだとすれば、不況回避に包括的かつ継続的(最低でも213年)な財政出動は不可欠であり、またその実施は早ければ早いほど良いと思われる。
グリーンスパンの失政では、サブプライム問題とは、結局は誰の責任だったのだろうか。
住宅バブル崩峡のアメリカはバランスシート不況先述したように、グリーンスパンFRB議長のマスタープランの前半部分(ITバブルの崩壊を住宅バブルで乗り切り、GDPを落とすことなく好況を維持して、バランスシートの修復を終えは非常にうまく機能した。
グリーンスパバランスシートが傷ついた企業が資金を借りなくなるということを想定できなかった。
この事態を想定できなかったのは、もちろんグリーンスパン一人ではないが、彼の問題は自分の想定が狂っていると気づいた時点でも何の行動も採らなかったことである。
実際にグリーンスパンは、20O4年時点で議会証言において何回も「このような景気局面なのになぜ企業はお金を借りにこないのか」と自問自答しているが、その時点で彼の当初の計グリーンスパンはこの時はっきりと「これは危険なバブルになりかねない」と警戒するべきだったのである。
もしグリーンスパンが、「これはバブルだから注意しなければいけない」と強く主張していれば、当時はHマエストロと言われて神さま扱いだったのだから、みんなが心して事態に対処したはずである。
そうすれば、おそらく今の傷は半分程度で済んでいたかもしれない。
彼は、任期の最後の日まで「バブル」とは言わなかったし、何ら警告を発することもいろいろな人から「これはバブルではないのか」と聞かれていたにもかかわらず、彼は「局地的にはそういう部分があるかもしれないが、その程度の問題だ」と言ってずっと否定し続けたのである。
これは中央銀行マンとしては失格である。
グリーンスパンは当初のシナリオが狂ったとわかしなかった。
それどころか、時点でスタンスを変えるべきであった。
それを今ごろになって、グリーンスパンは「これはバブルだ」とさかんに発言しているが、何をかいわんや、である。
しかも、「住宅価格はマーケットの想定よりもさらに下がる」などと、数年前に彼が言っていたこととはまったく逆の発言をしているのである。
ワシントンではグリーンスパンの評価は地に堕ちたと言われている。
中央銀行マンとしてパブルが実際に発生している最中、それに徹底的に警告を発することを怠ったグリーンスパンの責任は極めて大きいと言わねばならない。
世界中が住宅バブルになったと言い逃れするグリーンスパンところで、グリーンスパンは、自伝や最近の講演で、住宅バブルは自分のせいではないと盛んに主張し、その証拠として住宅バブルは世界的に発生しており、米国だけの現象ではなかったことを挙げている。
実際、同時期にアイルランド、フランス、スペインなどのユーロ圏でも住宅価格が急騰し、イギリスでも住宅バブルが発生した。
また一部の国の価格上昇率は米国のそれを上回るほど高かった。
これらの欧州における住宅バブルをグリーンスパンのせいにするわけにはいかないが、欧州で住宅バブルが発生したからと言って、米国の住宅バブルはグリーンスパンと関係がなかったとは言えない。
なぜなら、欧州の住宅バブルは米国と同様で、欧州中銀(ECB)の低金利政策がその背景にあり、そのECBも、実はFRBと同じように、域内のバランスシート不況に対応して金利を下げていたからである。
つまり欧州でも、199O年後半のITバブルは猛威を振るい、EU最大の経済であるドイツは完全にバブルになってしまった。
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